挽板のフローリングとは?特徴やメリット、注意点もご紹介します

挽板のフローリングとは?特徴やメリット、注意点もご紹介します

フローリングは部屋のイメージを決定づける、インテリアの大切な要素です。しかし、どのような床材のフローリングがよいのかわからず、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

そんな方のために、この記事ではフローリングに使う素材のなかから「挽板」について詳しく解説しました。挽板を使えば、まるで無垢材を使ったような仕上がりのフローリングが手に入ります。

<この記事のポイント>

・挽き板は無垢材と変わらない質感があり、長持ちするメリットがある。
・木材によって価格が変わるので注意する。                                         
・挽き板で人気の木材はオーク、ウォルナット、チーク、メイプル、ブラックチェリー

更新日:2023/12/25
初稿:2022/05/24

フローリングの種類を知ろう

フローリングには無垢フローリング複合フローリングという2つの種類があります。

無垢フローリングは天然木から切り出した素材をそのまま床材として使うフローリングです。そのため単板フローリングとも呼びます。

対して複合フローリングでは、基材の表面に天然木や化粧シートを張り付けたものを、床材として使います。複合フローリングの基材は合板で造られ、表面の化粧材は挽板・突板・シート材の3種類です。

フローリング画像

「挽板(ひきいた・挽き板)」は、複合フローリングに使う床材です。1mmから3mmの厚みにスライスした天然木を基材に張り合わせ加工したもので、無垢材と変わらぬ見た目のフローリングが作れます。

「突板(つきいた、突き板)」は薄い木材を基材の上に貼り付けたものです。構造こそ挽板と同じですが、突板に張り付ける木材の厚みは0.2mmから0.6mmです。天然木を多く使わないのでコストに優れています。

「シート材」は基材に化粧シートを張り付けたものです。シート材を使えば、床をきれいな木目で揃えやすくなります。シート材のデザインには石目調や単色などさまざまな意匠が存在しています。

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挽板でフローリングを作るメリット

フローリング画像

挽板には質感・長持ちする・安定性の3つの面でメリットがあるといわれています。

・無垢材と変わらない質感
挽板は一般的に厚みが1mmから3mmあるため、しっかりと木の質感がでます。触れたときの質感が、無垢材だけで作ったフローリングとあまり変わりがありません。

挽板のフローリングは、木目の深さや木肌の柔らかさが感じられるだけでなく、木の表情が楽しめる仕上がりになります。フローリングを敷き詰めた状態でなら、挽板と無垢違いを見分けるのは難しいでしょう。また、挽板は無垢材と同じように、塗装によって、木目を強調したり自然な色目にするといった調整ができます。経年変化による色の変化もみられ味がでます。

フローリング

・長持ちするので床材に最適
フローリングを長年使用していると、木の質感が粗くなったり、日焼けで色目が変わってしまうことがあります。挽板は1mmから3mm程度の厚みとはいえ、天然木を使っています。挽板は無垢材と同じく、サンドペーパーなどで研磨すれば、元通りの美しい見た目と質感を取り戻すことが可能です。メンテナンスを欠かさない限りは、挽板のフローリングは非常に長持ちするでしょう。

無垢フローリングと同様に天然のワックスを使用すると美しいツヤが保てます。ウレタン系の塗料を塗ると表面に塗膜ができ、水には強くなりますが、木の持つ肌触りは失われてしまいます。

シートフローリング

・寸法が変わりにくく安定している
木材は気温や湿度によってそのサイズが変化します。フローリング素材の寸法がずれてしまうと、隙間ができたり、床が波打つ原因となります。挽板は寸法が変わりにくいフローリング素材です。その理由は天然木の下に基材を張り付けてあるからです。基材に支えられているため、多少の吸湿や温度変化では収縮せず、寸法が変わりません。なお、温度変化に強いため、床暖房にも対応が可能です。高い機能性を持つフローリング素材だといえるでしょう。

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挽板を使う場合の注意点

無垢材の良いとこどりの挽板ですが、フローリングに使うときには以下のようなデメリットや注意点があります。

・木材によっては価格が高くなる
挽板に使われる木材は比較的高価な種類のものが多く、作成にも手間がかかるため、思っていたよりも価格が高くなってしまうことがあります。ただし、無垢材と比較するとその価格は控えめです。また、挽板によるフローリングは、無垢材をフローリングに張るよりも施工の手間がかかりません。

・種類があまり多くない
工務店などで用意している挽板の樹種は多くありません。意匠性が高く人気がある木材がほとんどです。一般的に必要十分なラインアップが揃っているとはいえ、無垢材のように自由に種類を選べません。なお、挽板を任意の木材で製作することも可能です。ですが、コストが高くなってしまうので気をつけましょう。

・素材の色や質にムラがある
挽板には天然木を使います。そのため、色味や質感がまったく同じものは作れません。挽板を使う場合には、素材に多少のムラがあるのは覚悟しておくようにしましょう。もちろん、床材1枚1枚における木の表情の違いは、挽板の魅力でもあります。

挽板で人気の木材

フローリング

挽板は使う木材を変えることで、大きくその見た目を変化させられます。以下では挽板に使われる木材のなかで人気のものを5種類ピックアップしました。それぞれ木材のタイプが異なるので、用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。

オーク材

オークはブナ科の広葉樹で、たいへん種類が多い木材です。オークに含まれる木材は全て合わせると数百種類を超すといわれており、北半球全般に有名な産地が広がっています。なかでも北アメリカ・ロシア・東欧はよいオーク材の産地として知られています。よく乾燥させたオーク材は、耐久性・安定性に優れ、摩耗や衝撃に強いため、古くから家具や床材として用いられてきました。

大ぶりな木目が好みなら、ホワイトオーク・レッドオークの挽板がおすすめです。主に北アメリカで産出されるホワイトオークやレッドオークは力強くはっきりとした木目と重厚な材質で人気があります。名前のとおりホワイトオークの木肌は白っぽいです。対してレッドオークは淡い黄褐色で芯材に近くなると紅褐色になります。

さらに大きな木目を好むのであればヨーロピアンオークの挽板を選ぶとよいでしょう。ヨーロピアンオークは寒冷な欧州が原産のオーク材です。古くから高級家具に用いられていたそうで、古くはギリシャ時代の遺跡からみつかることもあるそうです。現在でもその人気は衰えず、挽板としてよく用いられています。

フローリング

小ぶりで密な木目の床板が好みなら、モンゴリアンオークの挽板を使うとよいでしょう。モンゴリアオークは中国ロシア国境の寒冷地帯に多く生えています。寒冷地帯という点では同じですが、モンゴリアンオークは密度が高く木目が細かく育ちます。日本で特に人気がある木材です。家は一生ものの買い物なので、素材の産地にこだわりたい人もいるでしょう。

もし国産にこだわるのであれば、ミズナラコナラがおすすめです。ミズナラやコナラは主に北海道で産出されます。小径木で節が多いのが特徴です。ミズナラやコナラの挽板なら、見るたびに少し違って感じる、表情豊かな床を作れるでしょう。

ウォルナット

ウォルナット(ウォールナット)材

ウォルナットはクルミ科の広葉樹で、欧州から北米まで広く分布しています。チーク・マホガニーと合わせて世界3大銘木に数えられ、「富の象徴」とも呼ばれていた高級木材です。ウォルナットの魅力は奥行き感を持った色彩にあります。ウォルナットの紫がった独特なこげ茶色は、赤や青を何層にも塗り重ねたような深さとグラデーションがあり、見飽きることがありません。また、ウォルナットは多少のことでは傷がつかないほどに硬く重い木材です。加工や乾燥によるくるいが少なく、床材に適しているといえます。

挽板でよく使われるのは、主に北米で伐採されるブラックウォルナットです。チョコレートのような薄く紫がかった茶色と、乳白色から灰紫色が、不規則な縞を生みだします。ブラックウォルナットは木肌がやや粗い素材です。しかし、ステインやオイルになじみやすく、加工によって美しい輝きを持つようになります。ラグジュアリーなスタイルの部屋のフローリングによく似合う木材でしょう。

チーク材

世界三大銘木の1つであるチークは、シソ科チーク属の落葉性高木の総称です。南アジアから東南アジアに分布しています。この地域では古くからチークが建築素材として使われていました。木肌の色合いは艶を持った黄褐色です。しかし、経年によってその色は少しずつ濃くなり、落ち着いた重厚感のある色彩へと変化します。チーク材には油分が多く、木肌にしっとりとした質感があります。撥水性能が高いため、かつては造船にも用いられていました。キッチンなどの水回りにも向いています。

この油分は水分だけでなく、酸化・虫害・腐食に対しての予防効果もあります。くわえてチーク材は非常に強靭です。チーク材は伸びが少なく、割れたり裂けたりすることがあまりありません。そのため、床暖房を使いたい部屋にフローリングを張るなら、チーク材の挽板が向いているでしょう。

リビング

メイプル材

メイプルは楽器の素材としてよく知られている木材ですが、挽板の素材としても非常に優秀です。メイプルは温帯に自生するカエデ科の広葉樹。挽板の素材として人気があるハードメイプルは、「ブラックメイプル」もしくは「シュガーメイプル」です。双方とも、北米の5大湖周辺で伐採されています。

ハードメイプルは主にインテリアに使われる木材で、淡い乳白色が清潔感のある印象を与えます。非常に硬くすべすべとした質感を持っており、木目があまり目立たない木材です。ときおりハードメイプルには「杢(もく)」と呼ばれる柄が木肌に浮くことがあります。杢の入ったハードメイプルは見た目の美しさから珍重されており、化粧板として使われるほどです。ハードメイプルを挽板に使えば、明るく清潔感のある雰囲気を演出できるでしょう。北欧風インテリアやモダンインテリアとが好きな方にオススメの材木です。

ブラックチェリー

ブラックチェリー

バラ科のブラックチェリーは、北アメリカが主要な産地の広葉樹です。背の高い木で、大きいブラックチェリーの高さは30mに達するそうです。名前は同じものの、スーパーなどで販売されているサクランボのブラックチェリー(ビング)とは、種類が異なります。

ブラックチェリーの芯材は赤褐色です。芯から離れるにつれて色が薄くなり、辺材では淡桃色になります。時間とともに色が濃い飴色へと変色していき、高級感が増します。高級木材の1つであるブラックチェリーは、さまざまな家具に用いられてきました。加工がしやすく仕上がりがきれいになりやすい木材です。ただし、あまり丈夫な木材とはいえないので、挽板として使う場合は、用いる場所に注意してください。

挽板で無垢フローリングのような床を手に入れよう

リビング フローリングの画像
挽板とは複合フローリングの床材の1つです。基材の上に薄い天然木を張り付けているので、挽材によるフローリングは、無垢フローリングと見た目においてほとんど変わりません。挽板は、ねじれや歪みに強い構造なので、床材として人気があります。挽板を選ぶ際には、使用目的にあった木材を選ぶようにしましょう。素材にはオーク・チーク・ウォルナットなどがよく選ばれています。
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