耐水性の高い木材・樹種 無垢床の選び方
水に強い木材
家づくりやリフォームで無垢フローリングを検討する時に、水に強い木材を探している人も多いかとおもいます。天然木なので、長時間水に濡れた状態ですとシミになったり、床板の反り、割れの原因になることがあります。しかし、「コップの水をこぼしてしまった」、「衣服についた雨水が落ちてしまった」程度の水濡れの場合は、乾いた雑巾などでですぐ拭けばシミになることはまずないと言えるでしょう。
また、汚れがどうしても気になる時は、固く絞った雑巾でさっと水拭きすることも可能です。無垢フローリングはその肌触りの良さから素足で過ごす人も多いくいます。素足で過ごすと足の裏の皮脂汚れが自然と無垢材の表面に蓄積されていきます。湿度が気にならない秋~冬にかけては、その足裏の皮脂も無垢フローリングのオイルコーティングと同様に経年変化に伴って艶となり、飴色の床を光らせてくれます。
ただ、日本は梅雨~夏にかけては非常に湿度が高いので、調湿効果のある無垢フローリングであっても、使っているうちにベタ付きが気になることもあるでしょう。フローリングのコーティングについても、傷が目立たないウレタンコーティングの場合、水をはじいれくれますが、無垢本来の肌触り、質感が損なわれてしまいます。そして、吸湿効果もなくなってしまうので、夏場は特に素足で歩くと、ベタつきが気になるでしょう。
今回は、水に強い木材をご紹介しますので、キッチンやリビングなど日常的に水をこぼす可能性がある場所に無垢フローリングを採用する場合、ぜひご検討ください。
<この記事のポイント>
・世界三大銘木のチーク材は木製タールを含み耐水性の高い木材の代表格
・セランガンバツーはウッドデッキなどにも使われ耐久性が高い木材
・無垢フローリングの素材を活かすには自然オイル塗装がおすすめ
更新日:2024/02/16
初稿:2021/07/09
水に強い樹種を順にご紹介
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耐水性に優れたチーク材
耐水性の強い木材として一番に挙げられることの多いのが「チーク」です。チークはシソ科チーク属の落葉性高木の総称で、ミャンマーやインドネシアなど主に東南アジアの熱帯気候の地域に生育しています。ウォールナット、マホガニーと並ぶ世界三大銘木と言われ、古くから高級家具や内装などに使われてきました。
チーク材には、天然物と植林物の2種類があります。天然のチーク材は、現在ミャンマーでしか産出されません。そのため、無計画な伐採を禁止し、伐採のサイクルが長いスパンで計画されており、非常に高い品質を保っています。 ミャンマー政府が輸出を認めた原木には木口に星印の刻印が表記されていましたが、今では原木輸出禁止となり、製材された材木のみが輸出されています。
インドネシア産のチーク材は「ネシアチーク」と呼ばれ、全て植林で栽培されています。植林されたチーク材は成長スピードが早いため、木の密度が低くなるため、天然のチーク材と比べると、品質が劣ってしまいます。その分、天然チークに比べて高くなく、費用を抑えられるというメリットがあります。
なぜチーク材が水に強いかというと、「木製タール」を多く含んでいることに由来します。 この天然のオイル成分が水を弾いてくれ、海水にも強いので造船にも使われてきました。木製タールには独特の香りがあり、この香りを好む人達も多く、チークの魅力の一つとなっています。
木質は粗めですが、木製タールの効果で、光沢があり、肌触りはしっとりとした感触を生み出しています。非常に重く、硬く頑丈なので加工は簡単ではありませんが、その分、収縮が小さく狂いも出にくい木材です。薄く製材しても反りがほとんど生じません。複合フローリングの化粧材としてもおすすめです。水に強いので一枚板の無垢フローリングしても気兼ねなく水拭きできて、お手入れが簡単にすることができます。湿気にも強いので、ウッドデッキやガーデンテーブルやチェアの材料としても好まれています。
チーク材に含まれる天然タールは、白アリを始めとする虫にも強いという効果を発揮してくれます。オイル成分であるテクトキノンを含むので殺虫効果を発揮し虫を寄せ付けません。天然木だと「腐りやすいのでは?」と心配する方にも安心して利用できる板材です。
チークの人気の一つに経年変化による美しい色の深まりがあります。最初は黄白色~黄金色ですが、時を経る事で次第に色が濃くなるという特性を持っています。木に含まれるオイルも染み出し、色合いが濃くなるにつれ、重厚感が増していくので、とても落ち着いた雰囲気になります。チーク材の生産地別に見てみると、インドネシアのネシアチークは、若干明るめの色合いをしています。対するミャンマー製のチーク材は、年輪が詰まっており色合いも濃いという特徴があります。また、産地を問わず「カナスジ」と呼ばれる黒いスジが現れる事があります。このカナスジは、時が経つと薄くなっていき馴染んでいくので、心配することはありません。
チーク材は水にも摩擦にも強く、長年愛用することで、色合いが深まり独特の味わいが出てくるので、無垢フローリングの素材として最適な木材の一つと言えるでしょう。
耐久性に優れたセランガンバツー
セランガンバツ材は、フタバガキ科の広葉樹です。産地はフィリピンなどの東南アジア、スマトラ島、カリマンタン島(ボルネオ島)などの島々と、植林地域も広いため流通量は多く、価格も比較的安い木材です。辺心材の色は黄色~赤褐色と色調に幅があり、緑色を帯びていることもあります。辺材は淡色で木目は細かく、色合いも美しく経年変化も楽しめるのがポイントです。
とても重い樹種の一つで、硬いため害虫にも強く、さらに水にも強くや強い日差しなどへの耐久性にも優れています。反りやねじれ等も少なく安定した木材です。これらの特徴からデッキ材として用いられることも多く、diyする材料としてもオススメです。
この優れた耐久性は、人の出入りの多い商業施設や飲食店の店舗フロア材として最適です。
飲食店ですと、床の汚れが気になるかと思います。衛生面からも毎日モップでの水拭きを習慣にしているお店も多いでしょう。セランガンバツ材なら水にも強いので硬く絞った雑巾やモップでの拭き掃除にも適しています。
飲食店のように、土足での人の出入り、椅子やテーブルを移動させるときにできる傷など、床に負担がかかる場面が多くあります。塩化ビニール製の床や合板フローリングですと、傷や汚れは単なる劣化になります。しかし、無垢床のフローリングですと、年月を重ねるごとに色の深みが増し、傷も味となって馴染みます。様々なインテリアデザインとも相性が良いです。
ダイニングバーやカフェなど、カジュアルで温かみのある空間を作りたい時には、セランガンバツーの無垢フローリングを検討してみてはいかがでしょうか。
耐水性の高い針葉樹 ロシア唐松
ロシア唐松は極東ロシアに自生する、マツ科カラマツ属です。ラーチ材とも呼ばれ、天然の唐松=テンカラとも言われ、銘木として扱われてきました。日本の唐松と同じ樹種ですが、国産の植林唐松と見た目も性質も若干の違いがあります。
ロシア唐松は寒冷地に生育しているため、木目は詰まっており、まっすぐに伸びた木目が美しい木材です。辺材は白色、心材は褐色で、素晴らしい黄金色がインテリアを際立たせてくれ、他の木材にはない美しさがあります。一般的に、針葉樹は楢やタモなどの広葉樹より柔らかいと思われがちですが、ロシア唐松は比較的硬い針葉樹になります。そのため、水にも強く、 表面硬度は、広葉樹のブラックチェリーやオークよりも硬いとされています。それでいて、広葉樹のような冷たい感触は軽減されるので、素足であるく無垢フローリングには適しています。 国産唐松は約30年と若いうちから伐採されますが、ロシア唐松の原木は樹齢が200年にもなる言われています。 国産唐松と比べて約7倍も樹齢に差があります。
その長年の月日を重ねたロシア唐松の木目は、針葉樹フローリングの最高峰と言えるような緻密ではっきりとした木目が際立ちます。かつてロシア唐松は、癖が強く、安定しない木材として土木用木材にしか使えないなどと言われていました。しかし、黄金色の他にはない木目と美しさ、耐水性、耐久性の高い木材であるロシア唐松をフローリングに採用したいと考える人も多く、じっくりと加工することでフローリングとして使われるようになってきました。
ロシア唐松は狂いやねじれが生じやすく、無垢フローリングとなるまでに丁寧な乾燥技術や加工技術が必要です。 また、クセとヤニの両方を抑えるために時間をかけ、油分を出し馴染ませていきます。丁寧に時間をかけて加工された木材だけがフローリングとなるのです。
表面に自然オイルワックス塗装を施し長年使い込んでいくとより木目の美しさが際立ってきます。 杉などの針葉樹と同様に節が有るラスティックなグレードにはパテ埋めや埋木等の節補修を施して使用します。
耐水性を備えつつ、針葉樹の優しい雰囲気、人とは被りたくない、ひと癖ある家づくりがしたい人にはロシア唐松はおすすめの木材です。
ロシア唐松の商品はこちら
無垢フローリングを保護する塗装とは
無垢材のフローリングを傷から守り、耐水性を上げる方法として、表面に塗装を施す方法が最適です。無垢材そのままの状態で使用することはほぼ無く、何かしらの塗装を施して、傷や汚れから保護します。無垢フローリングの大きく3つに分けてUVウレタン塗装、ワックス塗装、もしくは自然オイル塗装があります。
最も耐水性が高まるのが、UVウレタン塗装です。UVと聞くと、紫外線をカットしてくれる塗装であると勘違いしがちですが、そうではありません。紫外線で固まる塗料を塗り、表面に硬い塗膜を作ることでフローリングを保護する塗装です。塗膜をつくるので、何も塗らない無垢材に比べて耐水性や耐久性は格段に上がり、傷や汚れが付きにくくなります。「一度塗ってしまえば基本的にメンテナンスは不要」ということでお手入れがラクだと思いますが、万が一、傷がついてしまった場合は、白く曇ったり、一部だけを塗り直すことが難しく、該当するフローリング全面を再塗装する必要があります。また、塗膜により光沢が出る分、無垢材本来の質感は失われてしまいます。
ワックス塗装とは、自然の蝋を木の表面にコーティングすることでフローリングの耐水性を高め、汚れから守る塗装です。種類にはミツバチの巣から抽出する動物性の蜜蝋ワックスや、カルナバ椰子の葉の裏から採取する植物性のカルナバ蝋のワックスなどがあります。仕上がりは、木の内部に染み込まないので濡れ色にならず、無塗装に近いさらっとした手触りになります。塗りこんで磨くことで木目が際立ち、自然な艶もでます。
自然オイル塗装とは、原料に石油や合成顔料を含まない天然素材を主原料とし、桐油やヒマワリ油、亜麻仁油などの植物性オイルを浸透させることにより、無垢材を保護します。無垢材に浸透させるので、無塗装に近い木材のもつ本来の手触りを残してくれます。万が一傷がついた時も、その部分にヤスリをかけて、またオイル塗装を施すことができるので、メンテナンスがしやすいのが特徴です。
ワックス塗装、自然オイル塗料こそ無垢材のフローリングの良さを引き出してくれる、理想の塗装と言えるでしょう。そして、天然の成分を主とする塗料なので、人体に及ぼす影響が少なく、安全性の高さ、人や環境に優しい塗料として人気があります。これらは国内メーカーの製品もありますが、ドイツのメーカーのものが主流になっています。海外では自然塗料と名乗る為に明確な基準が定められているので、安心してお使いいただけます。
無垢フローリングというとメンテナンスに手間がかかる印象があるかもしれません。日々のお手入れは掃除機やドライタイプのお掃除シートや雑巾の乾拭きで十分です。もし撥水性が落ち、塗装が傷んできたと感じたら再塗装をしましょう。塗装する前には、掃除機をしっかりかけ、ホコリを取り除きます。チリやホコリが残ったままだと、塗装をするときに一緒に塗り込んで固まってしまうので注意が必要です。その後、木目にそってブラシで薄く塗り伸ばし、塗装をしていきます。年に1~2回程度塗り直すことで、無垢フローリングを快適に使うことができます。
耐水性の高いフローリングまとめ
ここまで、耐水性の高いフローリングについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
無垢フローリングは一見水に弱いというイメージが強いですが、それをカバーできる樹種と無垢フローリングの良さがあります。
また、最新の新商品で、近年店舗や商業施設で流行っているラミネートフローリングの【KRONOTEX(クロノテックス)】も人気!高級感がありながらも、耐水・耐熱、そして耐衝撃にも優れていますので、土足でも使用頂ける商品です。
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どうぞ、コラムで知った知識を活かして一度無垢フローリングを検討してみてはいかがでしょうか。
水に強いフローリングはこちら
コラム監修者からのメッセージ
鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。