畳と無垢フローリングについて
これまで、畳といえば「い草」を使った畳が一般的でしたが、最近はモダンな印象になる縁のない琉球畳やカラーバリエーションが豊富なカラー畳、気軽に床に置くだけの置き畳など、多種多様な畳が増えてきました。
今回は、わたしたちの住む日本の住宅において欠かせない存在の畳と無垢フローリングについてご紹介していきたいと思います。
<この記事のポイント>
・リビングの一角に畳スペースを設けると空間の有効活用ができておすすめ
・畳と相性の良いフローリングといえば無垢フローリング
・杉やヒノキのフローリングは癒し効果が抜群
更新日:2024/02/16
初稿:2021/05/12
畳とフローリングのある暮らし
リビングの一角に畳のある和室を設えるのは、根強い人気のある間取りです。 畳を使って、フローリングと段差を作らずに空間を区切ることも可能ですし、少し小上がりになった場所に畳を使っても、空間にリズムが生まれ、段差を利用した収納などにも活用できます。
また、子育て世代の家庭では、畳の柔らかな床で、小さい子供が安心して遊ぶこともできますし、赤ちゃんのオムツ替え、大人も子供が一緒にごろんと横になってお昼寝するのにも最適です。
このように、リビングの中に畳を設けることで、空間に広がりが出て、多目的な癒しのある場所を作ることができます。
畳と相性の良いフローリングとは
洋風のリビングに和風の畳は馴染むのか?不安に思う方もいるかもしれません。そこでポイントになってくるのが、フローリングの床材とのバランスです。
塩化ビニール製のクッションフロアや、タイル張りの床ですと、素材の差がはっきりしているので、畳と合わせるのは難しいかもしれません。 しかし、天然木材である無垢フローリングと畳なら相性は◎です。
このとき、無垢フローリングには色が明るめの樹種を選ぶとより馴染みやすくなるでしょう。代表的な、スギやヒノキ、メープルなどがおすすめです。
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スギの無垢フローリング
スギはスギ科の針葉樹です。日本の家屋ではよく使われている無垢材の一つなので、畳との相性はとても良く、ほのかに独特の香りがします。 必ず節が入りますが、基本的に死節などは埋木やパテ補修をして素足でも滑らかに使用できるようになっています。
柔らかな木材のため、傷が付きやすい面もありますが、優しい踏み心地と温かい肌触りを感じることができます。オーク材などの広葉樹は密度が高く、冬場はひんやりとした感触があります。
しかし、杉は針葉樹の中でも水分を多く含むため、足の裏がひんやりしません。素足で歩いても心地よく、畳を歩く感覚にも近いものがあります。畳とは見た目の相性だけでなく、感触の相性も非常に良いといえるでしょう。
ヒノキの無垢フローリング
ヒノキはヒノキ科の針葉樹です。フローリング材としての色は白っぽく明るめで、日光が当たると経年変化で飴色に変化していきます。表面の硬さは比較的やわらかく、水や湿気に強い特徴があります。
伐採後の寿命が2000年とも言われ、古くから最高級の建築材として用いられてきました。浴槽や、晴れの場を意味する「檜舞台」の由来となっている、能舞台などにも使用されています。強い耐久性、リラックス効果や抗菌作用のある香りも魅力です。
畳とヒノキのフローリングの組み合わせは、贅沢そのもの、日本の伝統の融合といえるでしょう。い草の香りとヒノキに香りに包まれる最高のリラックス空間をつくることができます。
天然の香りによるリラックス効果
和室に入ったときに、ふわっと包み込まれるい草の香りに思わず深呼吸したことはありませんか?
実は、い草に一番多く含まれているのが「フィトンチッド」という、気持ちが安らぎ、リラックス効果をもたらす成分です。その他、消臭・脱臭効果、不眠症に効果があるアロマ作用や、鎮静・ストレス軽減に有効な成分も多く含まれています。
そして、同様の成分が木材にも含まれています。森林の中を散策したときに癒される木の香りの正体が、このフィトンチッドです。フィトンチッドには、血圧を下げて脈を落ち着ける作用、ストレスを感じた時に分泌されるコルチゾールの濃度も下げるという実証がなされています。 フィトンチッドは樹種によって含有量が大きく異なり、特定の樹種にしか含まれないものもあります。そして、木の香りだけでなく、色などにも影響を与え、樹種ごとに異なる特徴を生み出している要素の一つです。
針葉樹であるスギやヒノキは、フィトンチッドによる香りが分かりやすい樹種です。フローリングとして畳と組み合わせれば、相乗効果で香り、温もりある肌触りで最高の癒し空間を作ることができるでしょう。
使用感によって差はでますが、針葉樹の木の香りは築5年以上持続するともいわれています。針葉樹の無垢フローリングで心身共に快適な空間を作ってみませんか。
畳とフローリングのリフォーム
フローリングの洋室に畳を手軽に取り入れる方法として、オススメなのが「置き畳」です。「ユニット畳」や「システム畳」と呼ばれ、置くだけなので施工は簡単で、大掛かりなリフォーム工事をしなくても畳スペースを設けることができます。
素材は通常の畳と同じくい草で出来たものの他、水や汚れに強いポリプロピレン製、軽くさらっとした感触の和紙製のものもあります。縁がなく、正方形の半畳タイプが主流で、レイアウトの自由度が高く、フローリングとも相性がよく馴染みます。
コンパクトなので、使わない時は少ないスペースで収納することも可能です。 厚さも通常の畳より薄く、15mmが主流となっています。クッション性を保ちつつ、フローリングと段差幅が小さいので、小さいお子様やお年寄りの方がつまずいて転んでしまう心配も少ないでしょう。賃貸で自由なリフォームが難しい場合でも置き畳なら畳の空間を楽しめます。
ただし、床材によっては置き畳の裏についている滑り止めが効かず、設置してもズレやすくなってしまうことがあるので、注意が必要です。滑りやすい複合フローリングは、置き畳の設置にあまり適していません。無垢フローリングに設置する場合は、置き畳の角が擦れて床に傷がつく可能性があるので、事前に置き場所を検討しておくと良いでしょう。
畳をフローリングに変えるには
い草の香りが心地よく、多目的スペースとしても活用できる畳ですが、やはり以下のようなデメリットもあります。
・水に弱く、コーヒーなどをこぼした場合、シミになりやすい。
・湿気を吸い込みやすいため、定期的な換気をしないとダニやカビが発生する。
・重い家具を置くと凹んで跡が付いてしまう。
・3~4年の頻度で裏返しや表替えなどのメンテナンスが必要
こういった畳の弱点と、ライフスタイルの変化から、和室からフローリングへのリフォームを望む方も多くいます。
リフォーム方法
一番簡単なリフォーム方法としては、フローリングマットを畳の上から敷く方法があります。自分でDIYすることも可能で、費用も安く済みますが、畳の上から重ねるため通気性が悪く、カビやダニが発生しやすい状態になり、フローリングにする本来のメリットが無くなってしまいます。
快適性を求め、フローリングにしたい場合は、畳を剥がして張り替える方法がおすすめです。
一度床を全部剥がし、下地の状態を確認することもできるので、白アリ対策にもなります。 長年使用した床は、表面の経年劣化だけでなく、床下地部分にも腐食などの痛みが起きていることもあります。新築施工から10年以上経過している場合にリフォームする場合は、張り替え工法により一度フローリングを剥がして、目に見えない部分、床全体のダメージを確認してもらいましょう。
張り替え工法でリフォームする場合の相場は、使用する床材にもよりますが、6畳~8畳のリビングで約14~16万円前後の費用になります。
畳をフローリングに張り替える際は、下地を組み直したり、断熱材を敷いたりする必要があるので、DIYするのには高い技術が必要です。フローリングは床材の性質を理解して張っていくので、プロであるリフォーム業者に依頼するのが安心でしょう。
そして、和室から洋室にリフォームする際には床だけではなく、クロス、襖や押し入れなども一緒に変えた方が、バランスが良く満足度の高い部屋が完成するので、併せてご検討ください。
無垢フローリングおすすめの理由
畳の持つ天然素材の良さを活かしながら、カビや湿気が気にならない床にしたいと思うなら、無垢フローリングが断然おすすめです。無垢材のフローリングには自然の調湿効果が備わっています。夏の周囲の湿度が高い時には湿気を取り込み、サラサラとした床に、逆に周囲の湿度が低い秋から冬の季節には湿気を空気中に放出することで、空間の湿度を調節してくれます。
先にご紹介した通り、香りの良い針葉樹のフローリングを選べば、畳のようなリラックス効果も感じられることでしょう。1年を通じて快適に過ごすことができるのが無垢フローリングの大きな魅力の一つです。
無垢フローリングの種類
広葉樹と針葉樹は木が含んでいる空気の量の違いにより、重さと硬さが決まってきます。木の細胞と細胞の間には、無数の空気の隙間が空いており、細胞と空気の隙間の割合を空隙率(クウゲキリツ)といいます。
この空隙率が、温かい地域で育つ広葉樹は少ないため、密度が高く、硬くて重い樹種となっています。また、断熱性、熱伝導性が低くなるため、素足で歩くと冷たく感じやすいのです。 一方で、針葉樹は空隙率が高くなり、密度が低いため、素足で歩いても温もりを感じることができます。
広葉樹フローリングのおすすめの樹種
先に畳と相性の良い針葉樹のフローリングについては紹介しましたが、ここでは、広葉樹の無垢フローリングについても、その魅力についてご紹介します。
空隙率が少なく、硬い広葉樹ですが、その硬さが床材としては「傷が付きにくい」、「丈夫で反りも少ない」安定した木材といえます。昔から、家具やウィスキーの樽にも利用されてきたオークは、広葉樹の中でも人気の高い木材の一つです。オークは成長が遅く木目が緻密なため、美しい木目が特徴です。耐久性、耐摩擦性が高く、床材としても最適な木材といえるでしょう。
施工事例
さらにオークにはタンニンという虫をつきにくくする成分が多く含まれているので、天然の防虫効果を期待できます。
これらの特徴から、オーク無垢フローリングは、キッチンやトイレなど水回りにもおすすめです。
ハッキリした木目と落ち着いたブラウンの色味は雰囲気があり、アイアンやモルタルなど無機質な素材との相性が抜群です。
こちらの写真の施工事例でも、羽目板の天井と無垢フローリングに、ブラックの照明、キッチンのコントラストが、非常におしゃれな空間に仕上がっています。
オークの無垢フローリングはこちら
東南アジアを中心とした亜熱帯の気候で育つチークは、ウォールナットやマホガニーと並ぶ世界の銘木としても有名です。樹木に含まれる油分が多いので、水に強く耐久性に優れています。加工がしやすいチーク材はフローリング材の他にも家具、デッキ材、内装用建材にも使われてきました。また経年変化により、木目が赤褐色から濃い飴色に変化していくのも魅力です。
チーク材にも2種類あり、ミャンマーチークなど、原生林から採れるチークと植林によって管理されたネシアチークがあります。植林で丁寧に育てられているシネアチークは原生林と違い、品質の安定性に優れています。
元々の原生林で育った原木は色の濃淡や1本づつに個性がありますが、ネシアチークは均一で色味も黄褐色が強いかもしれません。
植林による安定性から、ネシアチークはフローリング材として適しています。
広葉樹は素足で歩くと、冬場はひんやりと冷たく感じます。フローリングの傷防止のためにもカーペットを敷くことをオススメしています。
無垢フローリングには床暖房対応の商品もあります。
床暖房の上にカーペットを敷くときは熱がこもり、床を傷める原因になることもあるので、必ず床暖房対応のカーペットを敷くようにしましょう。
LIFE UP FLOORでは、フローリングの無料サンプルをご用意しております。実際に手に取って、木の肌触り、質感をお確かめいただけます。お気軽にご利用、お問い合わせください。
畳と無垢フローリングについてのまとめ
ここまで、畳と無垢フローリングの魅力についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?どちらも天然素材の持つ良さがたくさん詰まっています。 畳も定期的なメンテナンスが必要ですが、無垢フローリングも同様に定期的にメンテナンスすることで、長持ちします。ただ、畳と違って、無垢フローリングは長く使う程に、艶が生まれ、色の移り変わりを「経年変化」として楽しむことができます。時が経つほどに味わいが美しさとなる、唯一無二の床材です。
毎日歩く床材は、快適な暮らしを左右する大切な要素です。また、インテリアとの相性によって、お部屋の雰囲気も変わっていきます。自分たちの暮らしにとって理想のお部屋をイメージして、畳とフローリングをバランス良く取り入れられたら素敵ですね。
コラム監修者からのメッセージ
鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。