フローリングとフロアタイルの違い
同じ床材でも、フローリングとフロアタイルは材質や質感が全く異なります。そのため、写真や価格の比較だけで判断するのではなく、それぞれの特徴や違いを踏まえて、適切な素材を選ばなければ使い勝手が悪いと感じることもあるでしょう。
こちらでは、フローリングとフロアタイルの違いを素材やメンテナンス、価格など様々な視点から比較していきます。
<この記事のポイント>
・フローリングトフロアタイルの違いが分かる
・無垢フローリングとラミネートフローリングを知ろう
・フローリングとフロアタイルのメリット・デメリット教えます
初稿:2022/11/11
フローリングの種類を知ろう
フローリングは、木材を主原料とした床材です。フローリングの中でも大きく分けてると数種類あり、代表的な無垢フローリングや見た目がそっくりの複合フローリング、そして今回ご紹介するラミネートフローリングなど、それぞれに特徴や性質も異なります。
フローリングのメリット・デメリット
フローリングの中で比較すると、無垢フローリングは木が成長しフローリング材といて使えるようになるまでの年月がかかるので素材の数が限られます。そのため、合板のフローリングよりも価格は高めになっていることが多く、広範囲の床で使用する際は数をそろえるのも容易ではありません。しかし、天然木ならではの高級感や肌触りのよさから人気が高く、アレルギーやシックハウス症候群に悩まされている方からの需要も高いです。
一方で、耐久性やメンテナンスという点では不安があります。天然木は傷がつきやすく、汚れがすぐにしみ込みやすいため、きれいな状態を保つののにはお手入れが必要です。また、定期的にメンテナンスを行わなければ劣化が早まりますので、購入後の手入れや掃除、維持コストなどを考慮して選ぶと良いでしょう。高級住宅やデザイン住宅など、素材にこだわった住宅づくりをする際に利用されることが多いです。
今注目のラミネートフローリング
一方で、ラミネートフローリングは粉末状にした木の繊維を圧縮したものに木目調の合板やラミネート素材を張り付けたもので、見た目はフローリングに近いですが、耐久性に優れています。芯材には間伐材を使っているのでコストを抑えられるうえ、天然木よりも耐久性を向上させながら、木材の魅力である優れた通気性や低い熱伝導率などの機能を有しています。
キッチンや洗面所などの水回りや寝室など場所を選ばずに使えるフローリングで、無垢フローリングに比べると費用も抑えることができます。
目に見える表面部分は印刷された装飾メラミン樹脂素材なので、色合いや木目のデザインの種類が豊富でどんな住宅にも合わせやすく、広範囲の床に使用しても統一感があります。
傷や汚れにも強く、メンテナンスもほとんど必要ありませんので、個人の住宅だけでなく、賃貸住宅や店舗など、幅広い場所で使われています。
釘を使わずに施工できるので、リノベーションにも向いています。
フロアタイルについて知る
フロアタイルは、塩ビ素材でできたタイルです。似たようなものに塩ビ素材でできたシート状のクッションフロアがありますが、フロアタイルは大きさが決まっていて組み合わせて使用するのに対し、クッションフロアは一枚の生地状で広範囲に一度に敷くことができるという違いがあります。
ただし、フロアタイルの素材は比較的硬さがあるので、コンクリートなどの硬い地面に設置する場合は土足やスリッパの使用を前提とした方が良いでしょう。また、フロアタイル自体にそれほど厚みがないため、デコボコしている床にはきれいに設置できない可能性があります。
フロアタイルの魅力は、何といっても手ごろな価格と耐久性の高さです。天然素材を使ったフローリングは水濡れや衝撃に弱いですが、フロアタイルは耐水性と耐衝撃の高さに定評があります。
例えば、重い家具類を置いてもへこみや傷ができにくいため、オフィスや商業施設でも重宝されるでしょう。加えて、比較的手ごろな価格で購入できるものが多いため、低予算でリフォームや模様替えを検討している場合に好まれる素材です。
ただし、遮音性や肌触りはそれほど優れているとは言えません。アパートのように隣室の音が気になる場所やはだしで歩く場所に使うには、あまり利便性が高くはないでしょう。一方で、デザイン性に優れていて施工が簡単ですので、土足で歩く屋内のリフォームには適しています。
フローリングとフロアタイルの違い
素材
フローリングはそのすべて、もしくは一部に天然の木材を使用しています。そのため、見た目にも高級感がありますし、肌触りがよく、通気性や耐熱伝導率に優れていますので、快適に過ごしたいならフローリングがおすすめです。
裸足で歩いても足裏への衝撃が少なく、程よいフィット感がありますので、不快な思いをすることがほとんどありません。
一方で、土足で歩く場合や汚れやすい場所の床材として利用する場合は、塩ビでできているフロアタイルの方が使い勝手が良いと感じられるでしょう。
従って、木材本来の質感や風合い、肌触りを実感したい場合には、最も適しているのが無垢材、次いで天然木材を多く使用しているラミネートフローリング、最後にフロアタイルという順になります。価格差もこの順で開いていきます。
メンテナンス
メンテナンスのしやすさを比較した場合、最も手入れが必要なのが無垢フローリング、次いでラミネートフローリング、フロアタイルの順になります。無垢フローリングは質感の高さや天然素材ならではの快適さが魅力ですが、それだけに虫食いやカビ、紫外線や温度の変化による劣化が生じやすい素材です。
耐用年数を考えても、屋内で使う場合ならば比較的長期的な利用も可能ですが、ウッドデッキのように屋外で何十年も使い続ける際には行き届いたメンテナンスが必要不可欠です。
一方、ラミネートフローリングならば木材ならではの快適さと耐久性の高さを兼ね備えていますので、長期間使うことができますし、ラミネート加工が施されているためメンテナンスも容易です。
とはいえ、床材の張替えとなると大規模な作業になりかねませんので、ある程度状態の確認やメンテナンスは必要でしょう。
フロアタイルは素材自体の耐久性の高さだけでなく、張替えのしやすさというポイントが加わるため、さらにメンテナンスがしやすいです。
硬度のあるタイルを敷きつめているだけですので、床がコンクリートや石づくりのような硬い素材の場合には、床そのものが劣化する心配はほとんどないでしょう。フロアタイルも耐久性が高い素材ですが、もし傷んでも同じ柄のタイルをその部分だけ取りかえられます。
以上のことから、メンテナンスという点から見れば、フロアタイルの方がフローリングよりも使い勝手が良いと感じることが多いでしょう。
価格
価格の面から言えば、単価が最も高額になるのは天然素材のみを使用した無垢材です。次いで、間伐材を用いてコストを抑えたラミネートフローリング、フロアタイルという順になります。
ただし、フロアタイルにも様々なグレードがあり、高額なフロアタイルを選べばラミネートフローリングよりも値段が高くなることがあるため、注意が必要です。
どちらの素材がおすすめ?
フローリングとフロアタイル、どっちの素材を選ぶべきかは、使用する場所や施主の意向によって異なります。オフィスのように土足で歩く場所ならば、肌あたりや汚れを気にする必要がないため、フロアタイルを使えば低コストで高級感のある床にすることが可能です。
また、水回りは腐食やカビが発生しやすいため、耐水性の高い塩ビ素材のフロアタイルが適しています。
メンテナンスの負担もほとんどありませんし、部分的な補修がしやすい上に自分でリフォームをすることも容易なため、あまり手間やコストをかけたくないときにはフロアタイルの方が満足度は高いでしょう。
一方で、フローリングは天然素材ならではの良さが実感できますので、自宅のように長く過ごす場所で、素材にこだわりたいという人におすすめです。コストやメンテナンスについても、ラミネートフローリングのような高機能な素材を選ぶことで解決することができます。
様々な種類のフローリングがありますが、後悔の無いよう、慎重に選びましょう。
フローリングの張替えは比較的大掛かりなリフォームになりますが、木の温かみや弾力性、肌あたりの良さなどを実感することができるでしょう。フロアタイルと比べて硬さや冷たさが軽減されますし、防音性も高くなりますので、長時間過ごすことが多いリビングや小さい子供用のスペースなどではフロアタイルよりも重宝されることが多いです。
フロアスタイルは賃貸など、短期間で入れ替わりがある場合などには向いているかもしれません。
一概にどちらの素材が優れているとは言えませんが、長く使うこと、快適に使うことを優先させたいならフローリングの方がより満足できるでしょう。