ウッドショックとは?その原因と木のはなし

ウッドショックとは?その原因と世界の状況、気になる木のはなしについてご紹介します

木

<この記事のポイント>

・コロナ禍の長期化により木材業界にも影響が出ている
・木材の需要に対して供給が追いつかず「ウッドショック」が発生
・国産材で供給が安定している「ひのき」は木の王様

更新日:2024/1/19
初稿:2021/08/27

「ウッドショック」という言葉について知る

最近ニュースなどでよく耳にする「ウッドショック」という言葉をご存知ですか?

コロナ禍が長引くにつれて、その影響は木材の業界にも及んでいます。いま、世界的に住宅の建材となる木の供給が需要に対して追い付かず、木材の輸入量の不足が見込まれているのです。その結果、木材関連の価格の値上げが起き、従来よりも住宅の建築コストが上がってきているという現象が起きているのです。

1970年代には「オイルショック」という石油関連製品の不足が世界で起き、市民生活に混乱をきたしました。ウッドショックは建築資材という一部の商品に対して起きている問題ですが、これから新築を計画している方々にとっては気になる話題かと思います。今回はこのウッドショックについてご紹介したいと思います。

ウッドショック

2020年の冬頃から急速に広まった新型コロナウイルスですが、2021年の現在、みなさまはどのように過ごされていますか?今後の見通しも立たず、不安な気持ちで過ごされている方も多いかと思います。

世界中で感染が増加するなかで、各国でも感染拡大や緊急事態宣言などの規制が行われてきました。目に見えないウイルスから身を守るため、大きな生活の変化が起きているのを実感している方も多いでしょう。そして、今まで以上に自宅で過ごす時間が増え、いかに快適に家で過ごせるか、自宅で仕事をするスペースをどのように確保するか、など家に対しての価値観の変化も起きています。日本に限らず、海外でも同様の変化が起きています。

リモートワークという仕事のスタイルが普及していくなかで、都心から郊外へ、感染爆発している大都市部から地方へと移住する方や、住宅のリフォームを検討する方も一気に増えてきました。これは、日本に限ったことではありません。世界中で住宅需要が増加し、それが原因で建築用木材の需要も急激に増えてきたのです。

同時に、アメリカや中国では、歴史的な住宅ローンの低金利政策が取られ、財政出動が起こりました。それも後押しとなり、郊外に新しく住宅を購入する人々が増え、世界的に需給バランスが大きく崩れ、十分な量の輸入材が日本に入ってこなくなったのです

ウッドショックを引き起こした要因

ウッドショック

その他にも、ウッドショックを引き起こした要因があります。

・住宅以外の木材需要の高まり

家で過ごす時間の増加と共に、新たな趣味を見つけようとDIYを楽しむ人も増えてきたと言われています。住宅の建築以外の場所でも木材の需要が増えたのです。

・伐採する労働者の減少

世界の工場で新型コロナウィルスの影響で労働者が減り、様々な製品の製造が遅れる現象が起きています。製材の現場でも同様に、伐採する労働力の減少、製材工場での稼働率の低下が起き、木材の供給が遅れています。

・コンテナ不足

・コロナ禍によりネットショッピングの利用などが増え、世界的に流通が圧迫されコンテナ不足が起き、日本へ木材を運べない状況が生まれています。
更に3月にスエズ運河で起きた大型コンテナ船の座礁事故の影響でコンテナ輸送の遅れが生じ、要員の一つとなっているそうです。

コロナ禍になる以前から、害虫や山火事などで原料となる木材の生産が不足していました。そこに、これらの要因が重なったことで需要と供給のバランスが崩れて、木材の価格高騰が引き起こされてしまったのです。

ウッドショックの影響がでているところ

ウッドショック

木造住宅には様々な場所に木材が使われていますが、今回のウッドショックで特に影響を受けているのは、柱や梁に利用されている木材です。梁は構造上、強度の強い材料が求められます。国産のスギなどは水分を多く含み、柔らかい木質のため、強度が求められる場所には適しません。無垢フローリングや天井や壁に羽目板として使うなど、内装材として向いている木材です。

梁の多くは、強度がある、米松やレッドウッドなどの輸入材に頼られてきました。これらを集成材に加工し、頑丈な梁として使われています。集成材とは、複数の板を結合させた人工の木材です。小さな板を乾燥させ、同一繊維方向で接着剤を用いて張り合わせ、建造用の集成材として、厳格な規格と検査基準をもとに品質管理されています。

強度と安定性、耐水性があり水分による反りが起こりにくくなっており、この集成材を使うことで、安定した品質の住宅が造られてきました。

梁に適している国産材としては、カラマツなどがあります。ただし、カラマツはそもそもの供給量が少ないため、急な調達が難しくなっています。木材は、苗木を植えてから、柱や板として加工できる太さに育つまで何十年という時間を要します。そのため、必要になったからといって短時間で供給量を増やすことができないのです。

柱についてはスギヒノキの集成材が一般的に使われており、国産材の調達もしやすく、輸入材が入ってこなくても代用されています。

ひのきは木の王様

現存する世界最古の木造建築物群である法隆寺はひのきが使われていることでも有名な通り、ひのきは耐久性が非常に高い木材です。

昭和に行われた法隆寺の大改修の際は1300年も前のひのきの建材をそのまま再利用できたそうです。

ひのきは伐採直後は比較的柔らかい木質ですが、年月を経るごとに強度が増し、約200年後にピークを迎え、1200年を経過しても伐採直後の強度を維持するといわれています。

それほどひのきは頑丈で、柱や梁などの建材として最高峰の木材と言えるのです。

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住宅の価格変化ついて

ウッドショック

ウッドショックが起きて、「家を建てられなくなるの?」「住宅の価格も高騰するの?」と心配している人も多いかと思います。実際は、全てのハウスメーカーや工務店に大きな影響を与えているわけではありません。

自社の山を持ち、木材を調達しているハウスメーカーや、国産材しか使わない工務店なども存在します。そういった会社では直接的ダメージを受けることは少ないでしょう。一方で、価格を抑えたローコスト住宅や建売などは輸入材に頼っていることが多く、影響を受けやすいと言えるでしょう。

ただし、住宅の価格は木材だけで決まっているわけではなく、基礎工事や、内装の仕様、キッチンや浴室などの設備等、様々な要素を元に決まっています。注文住宅の場合は施主が予算に合わせて決めていくことができる部分も多くあります。

そのため、数年かけて徐々に住宅価格が高くなっていくことはあっても、極端に高騰することは考えにくいと言われています。

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国産材の今後考えるべきこと

国産材

ウッドショックは、木材供給リスクと国産材の課題を顕在化させたと言われています。これまで、木材需要の約6割を輸入材、特に米材や欧州材に頼っていたため、日本国内は一気に木材不足に陥りました。住宅用建材においては、7割ほどが輸入材と言われています。

今回の出来事をきっかけに、国産材へ切り替えるようという動きもありすが、そう簡単ではありません。

現在、日本の森林面積は国土の3分の2に及び、森林率は経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国で3番目の高さです。山には利用可能な大きさに育った木が沢山あり、「木材資源大国」と言えるほど、国内の森林資源は充実してます。にも関わらず、国産材への切り替えが容易ではないのはなぜでしょうか。

 

ウッドショック

日本の森林は戦時中から大量伐採されて、一度荒廃しました。その後、植林によって森林面積は増加し、今は本格的な利用期を迎えています。しかし森林が育つまで半世紀にわたって木材を輸入に頼っていたため、国産材の自給率は減少の一途をたどってきたのです。

そのため林業における後継者不足や労働者不足により、急激に木材需要が増えたからといって、すぐに増産するような態勢は取れないのが現状なのです。そのため、価格の維持も難しく、安価な輸入材の代用となる難しさがあります。

輸入材への依存によって、国内林業の産業化を遅れと共に、林業従事者も長期にわたって減少し続けました。過去にも、輸入材の供給が減少した際に一時的に国産材へのニーズが高まり、価格が上昇したこともありました。しかし、輸入材の供給量が回復し、価格も安定すると、国産材の引き合いが減り、価格も下落するということが何度も起きてきました。

木材を山から出すには、たくさんの労力、コストがかかります。「安さ」を求められ続けた結果、国産材の価格が輸入材を下回らないと売れなくなり、国内の林業において、負のスパイラルが起きたのです。

今回のウッドショックは一時的なものと考える意見や見方もありますが、日本の林業、木材供給の課題を浮き彫りにさせた出来事となりました。「豊かな森林資源を持っているのに、活用できない」という課題の解決に向けて、国産材に注目が注がれている今、わたしたちに何ができるのか考えていく必要がありそうです。

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弊社は国産材の一大産地である長野県東信地域に本社を置き、豊富な国産材を取り揃えております。8,000坪以上の在庫を自社工場で管理。長野県内では自社配送を行っており、無垢フローリングはウッドショックの影響を受けることなく、ご用意しております。

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心地よい快適な暮らしに、無垢フローリングを取り入れてはいかがでしょうか。

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ウッドショックのまとめ

ここまで、ウッドショックについてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?いつまでこの状況が続くのか、先が見えませんが、木材を取り巻く現状は、時代の変化と環境問題などによって厳しく、価格の高騰が起こっているのは現実です。

このコラムを読んでいただき、木材について考えるきっかけになれば幸いです。

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コラム監修者からのメッセージ

監修者

鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者

LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。

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