バリアフリー住宅の作り方 考えるポイント
日本が高齢社会と呼ばれるようになり、誰もが一度は「バリアフリー」という言葉を聞いたことがあると思います。自宅においても、将来に備えてバリアフリー化を検討する人が増えてきました。
また、最近は年齢や性別、障がいの有無に関係なく、はじめからすべての人が快適に過ごせる「ユニバーサル デザイン」と呼ばれる、設計、設備を取り入れた家づくりをすることが理想とされています。バリアフリーまたはユニバーサルデザインの住宅であれば、老後に限らず、万が一身体に障がいを負うことになった場合でも、建替えやリフォームの必要がなく、いつまでも住み慣れた自宅で暮らすことができます。
今回は、小さな子どもや高齢者、また身体障がいのある方々が安心安全に生活できる住まいの作り方について、自宅をバリアフリー化をする際に重要になってくるポイントをご紹介します。
【今回の記事のポイント】
✔️バリアフリーについて考える
✔️バリアフリーに適した床材がわかる
更新日:2024/1/19
初稿:2021/09/02
《目次》
・バリアフリーについて
・バリアフリー住宅のチェックポイント
・施工事例
・水回りのバリアフリー化のポイント
・家族が集まる場所のバリアフリーのポイント
・バリアフリー住宅への補助金について
・バリアフリーの補助金制度について
・バリアフリーの家づくりについてのまとめ
バリアフリーについて
人は年齢を重ねるにつれ、足腰が弱まって、若い時のように体が動かなくなります。例え、家の中を歩く時でも少しの段差がきつく感じられたり、杖や支えを必要とする場面がでてきます。
また、トイレやお風呂に入るときは、転倒のリスクが高くなるので、ゆったりと広く入れるスペースが必要となってきます。万が一、車いすを利用するこになれば、なおさら廊下や洗面所、お風呂、トイレに十分なスペースが求められます。
玄関周りにおいても、階段が設けられている場合、一回一回の昇降で足腰に負担がかかります。買い物などで荷物を持って歩く場合は。より負担がかかります。
バリアフリーの家づくりを考える際は、家の中で危険な場所がないか、生活のあらゆる場面で家族みんなが使いやすいように、それぞれの立場に立って考えることが重要です。
杉のフローリングは空気層が厚く、保温性、断熱性に優れている特徴があります。空気層はクッションのような役割も果たすため、素足で歩いた時に身体にかかる負担を軽減してくれるので、小さな子供やお年寄りにも優しいフローリングになります。畳と近いような感覚で取り入れることができ、身体に優しい床材なので、バリアフリー、ユニバーサル デザインの家づくりを考える時におすすめの木材です。
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バリアフリーの家づくりで一番大切なのは、自宅での生活をより安全かつ快適に行えるようにし、「移動」と「日常生活における作業」をスムーズに行えるようにすることです。段差のない床や各部屋の壁、廊下に取り付けられた手すりは、代表的なバリアフリー機能ですよね。平屋だと家の中の段差も少なく、ストレスなく過ごせますが、元々2階建て以上の物件の場合でも手すりなどを付けることによって、バリアフリー住宅として対応できます。
また、ユニバーサルデザインに対応した、洗面台やキッチンは、高さを低くして、誰もが使いやすくなっていたり、シンクの下にスペースを設けて、車いすに座ったままでも作業がしやすいような工夫がされています。
住み慣れた自宅で、室内の事故の心配もなく、日常生活の作業に不便を感じないような状態にすることが大切です。
バリアフリーリフォームの場合は既に不便を感じている家族がいる場合が殆どではないでしょうか。その場合は、対象となる人の状況(車イスを利用するのか、身体が一部不自由になったのか等)によって、改善するポイントが変わってきます。
様々なケースに合わせたバリアフリーリフォームが可能ですので、間取りやリフォームを考える際の困り事は専門の業者に相談するようにしましょう。
バリアフリー住宅のチェックポイント
「バリアフリー住宅」というと、多くの方が段差をなくすことをイメージするかと思います。
高齢者、身体に障害がある方に向けて障害物を取り除く第一歩として、段差の無い家づくりは有効です。一昔前の住宅は、玄関の土間と室内の上がり框部分までの高さがあったり、部屋と廊下の間に敷居があったりと、階段以外の段差がありました。 最近では始めから段差を最小限に抑えた造りの住宅が増え、子どもを始め、誰もが使いやすい造りの家がスタンダードになってきています。
ただし、身体機能が低下して車椅子や杖を使用するようになった場合、段差だけでなく、解消しなければいけない点があるので、次のチェックポイントを参考にしてみてください。
・玄関の工夫するポイント
玄関ドアには様々な種類がありますが、将来、車椅子を使う時のことを考えた場合、90cm以上の幅がある、大きめの玄関ドアを選ぶと良いでしょう。
上がり框の段差も低めに設定し、上り口の壁に手すりを付けると、靴を履いたり脱いだりする日常の動作にも便利です。家の敷地と道路に段差があり、階段を設けている時は横にスロープをつけると高齢者だけではなく、ベビーカーの移動にも役立つので、家族みんなのメリットにも繋がります。
・扉はできるだけ引き戸にする
室内でも車椅子を使用する場合、玄関をはじめ、家の中の扉を引き戸にすると車椅子でも使用しやすくなります。扉にはレバーハンドルをかけると、更に開閉しやすくなるのでおすすめです。
扉の位置には照明のスイッチを付けることが多いと思いますが、低めの位置にワイドスイッチをつける、人感センサーで点灯する照明に変えると大変便利です。
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施工事例
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水回りのバリアフリー化のポイント
・浴室のキケンを無くす
浴室は転倒のリスクが高く、家の中で危険な場所の一つです。以前は高さのある浴槽が見られましたが、最近のユニットバスは高さが40cm以下と低めに作られた浴槽が一般的となっています。バスタブや床材には滑りにくい素材を選び、洗い場、浴槽の壁にも手すりを付けるようにしましょう。
冬場はヒートショックを防ぐためにも、浴室暖房機能を取り入れて、浴室と居室の温度差がないように暖めておくことが大切です。浴室暖房に乾燥機能が付いているものを選べば、雨の日に洗濯物を干すこともできて便利です。
・車椅子でも快適に利用できるトイレ
車いすの使用の有無にかかわらず、年齢を重ねるとトイレに行く回数が増えるので、使いやすく広々としたトイレをスペースを確保することは必要不可欠です。
洋式トイレを採用することはもちろん、便座の脇に手すりを設置すると用を足した後の立ち上がりも楽にできます。引き戸にして、介助者が入れるスペースを作れればなお良いでしょう。
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家族が集まる場所のバリアフリーのポイント
・みんなが心地よく笑顔になるリビング
リビングは家の中心となり、家族が集まる大切な場所です。バリアフリー化するときには、とにかく段差をなくすことを徹底しましょう。
最近は、リビングに小上がりの和室スペースを設ける家が見られますが、大きな段差で高齢者が登りにくい、つまずくというデメリットがあるため、おすすめしません。段差のないフラットな設計にし、滑らない床材を選び、繋がりのある空間にすると過ごしやすくなります。
杉やひのきなどの床材は柔らかい木質で足腰への負担が軽減されます。特有の香りの癒し効果もあり、冬場、素足で歩いてもひんやりしないのでリビングなどくつろぎの空間には特におすすめです。
・使いやすいキッチン設備
通常のキッチンでは立って調理することが前提となって高さが決まっていることが多いかと思いますが、最近では座ったまま調理できる低めのキッチンもあります。流し台や作業スペースの下に空間を作り、座ったままでも足がぶつかって作業スペースから身体が離れてしまうことのないような工夫がなされています。
シンクでもタッチレス水栓の採用をすれば、手をかざすだけで水を出すことができ、汚れた手で水栓レバーを触る必要がないので便利です。
家族みんなが使いやすく、居心地のいい空間を作るために、みんなでアイディアを出し合うのも大切ですね。
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バリアフリー住宅への補助金について
ここまで、バリアフリー住宅にするポイントを説明してきましたが、バリアフリーの設備を導入する際に気になるのは費用の問題かとおもいます。
新築、リフォーム問わず、バリアフリー工事を行う際には、国や自治体からの補助金制度を活用することで、個人の負担を大きく減らせるので、事前に確認するようにしましょう。
また、固定資産税などの税金も減税対象になるので、忘れずに確認、申請をしてください。
バリアフリー工事の減税制度
決められた条件を満たすバリアフリー工事することで最大3つの減税制度を利用できるので、ご紹介します。。
①投資型減税控除
高齢者要介護者と同居する人がバリアフリー改修工事を行った場合、ローンの有無に関わらず、控除対象限度額上限10%の投資型減税(所得税)控除を受けられます。
リフォーム後の令和3年12月31日までに居住を開始した方が対象となり、控除期間は1年間です。
②ローン型減税
投資型減税控除と同条件の方がローンを使用してバリアフリー工事を行った場合、工事費用の年末ローン残高の1%または2%が5年間所得税額より控除されます。
控除期間は居住を開始した年から5年間で、借入金は償還期間5年以上の住宅ローンまたは死亡時一括償還による住宅ローンが対象となります。
③固定資産税
要件を満たすバリアフリー改修工事をした住宅は、翌年分の固定資産税額が1年間、1/3減額される制度です。こちらは令和4年3月末日までに居住を開始することが条件です。
バリアフリーの補助金制度について
介護保険では、家族に要介護者がいてバリアフリーのためのリフォーム工事を行う場合、実際の住宅改修費の7~9割で上限20万円、支給額最大18万円の補助を受けることが出来ます。(自己負担が1割のケース)。申請は工事を始める前に行わなくてはならず、手続きや必要書類も多いため、早めにケアマネージャーなどにも相談しながら、リフォーム計画を立てましょう。
支給の対象となる工事も決まっています。
・手すりの取り付け ・段差の解消
・床材、通路面の材料変更
・洋式便器などへの便器の取替
・上記5つに付随する改修工事
なお、介護保険を利用した補助金は「償還払い」のため、一度費用をすべて支払ったのち、支給額が払い戻される仕組みなので、大掛かりなリフォームはまとまった資金が必要になるので、注意が必要です。
この他にも、自治体からの介護リフォームに支給される補助金制度もあります。支給額や、支給条件は市区町村によって異なるので、詳しく知りたい方は、お住まいの市区町村のホームページを確認してみてください。
コラム監修者からのメッセージ
鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
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