上がり框とは何か知っていますか
「上がり框(かまち)」と聞いて何のことかすぐ分かるでしょうか。上がり框とは、玄関や勝手口の靴を脱いであがる段差の側面部分に張り付けられた化粧材のことをいいます。日本の住宅は靴を脱いで家の中に入るので、段差を設けていることが多く、名前を知らなくてもすぐにイメージがつくのではないでしょうか。
また、「付け框」という言葉も併せて覚えておきましょう。付け框とは、玄関の上り框と同じ高さで、土間の仕上げ材と、壁の仕上げ材の見切り材の役目をしている化粧材のことです。基本的に、付け框は、上がり框と同じ材質で施工されることが多く、断面寸法が上がり框の1/3の厚みさものが使われるのが一般的です。今回は、この上がり框についてご紹介します。
<この記事のポイント>
・上がり框の主な役割は入り口端部分の補強と怪我の防止
・無垢材の上がり框は耐久性も高く、高級感ある玄関を演出
・上がり框は15センチ~20センチの高さが一般的でおすすめ
更新日:2024/2/14
初稿:2021/8/1
上がり框の役割とは
床と足を保護する上がり框
上がり框の役割には次のような役割があります。
1:入り口の端部分の補強とケガの防止と部材の保護
玄関は当然ながら、家の中で最も人の出入りが多い場所です。その為、人が何度も踏んだり、腰かけたりする段差の端部分は、擦れたり、重みが掛かったり、とてもダメージを受ける部分です。そのため、丈夫な框材を取り付けることで、端部分を補強する役割があります。また、玄関に段差を付けた場合はその部分が床の切れ目となります。
床の切れ目を補強しないと、木のささくれが出たり、人が踏むことによって生まれる摩擦でボロボロになりケガをしてします恐れがあります。そのため、上がり框を付けることで、床の保護とその上を人が安全に歩けるようにする役割があるのです。
2:外と中の境界をはっきりさせ、玄関の印象を決める
上がり框は、土足を脱ぐ場所を明確にする役割があります。日本では靴を脱ぐ習慣があり外と中を明確に分けています。マンションなどの集合住宅ではバリアフリーの段差のない玄関も増えてきていますが、戸建ての場合、外のアプローチから続く玄関において、段差にすることで土埃の侵入を防ぐことができ、靴を脱ぐという動作が明確になります。そして、上がり框をまたいで家に上がるということで、外と中との境界がはっきりします。
また、玄関は家の顔とも言われるため、玄関のドアを開けてすぐ目に入る上がり框は、その家の印象を左右する大切な存在とも言えるでしょう。
上がり框の種類について
LIFE UP FLOOR、では、 ナラ、カバ、ウォールナット、チェリー、チーク、イエローパインと、無垢材の上がり框を豊富に取り揃えています。おすすめは、耐久性があり、硬く、傷がつきにくい広葉樹の木材が適しています。広葉樹は古くから高級家具にも使われてきた木材が多く、硬く丈夫で、木目が美しい木材が特徴的です。玄関ホールのフローリング、上がり框、付け框に無垢材を使えば、高級感がある玄関を演出できるでしょう。
一般的に、玄関ホールに使用される床材と同じ樹種のものや、同じ色合いのものが選ばれます。無垢材は、使うほどに経年変化によって色の深み増し、飴色の艶が出てきます。多少の傷も味となって、気になりません。無垢材は樹種によって、経年変化に差があります。穏やかに変化していくもの、劇的な変化があるもの、あまり色合いが変わらないもの。床のフローリングと異なる樹種を使うと色のバラつきが出てしますので、注意が必要です。
上がり框は、なんとなく床材と同じなら大丈夫であろうと、あまりこだわらずに決めてしまう場合も多いので、 設計する段階から次のポイントに従って、自身のつくりたい理想の空間を考えてみてください。
上がり框をつくる際の悩みを解決
1.上がり框の幅をどうするか
框の太さは自由に選択することができます。存在感をなるべく消し、すっきりした玄関にしたい場合、細くした上で、色合いも床材と同じものにするとまとまります。一方で、幅を細くしても、色合いや素材を異なるものにすることで、存在を目立たせつつ境界感を演出することもできます。
重厚感と安定感、落ち着いた雰囲気にしたい場合は太めの框にするとよいでしょう。無垢材の木目の美しさ、天然木材としての存在感を際立たせたい場合は、太めを選んでみてください。小さな子供や、高齢者のいる家庭では、框に腰掛けて靴を履く習慣がある方もいるでしょう。その場合も太い框にすることがおすすめです。新築、リノベーション問わず、好みや、求める空間の雰囲気に応じて、太さまでこだわってみましょう。
2.安全性を考える
框に石材やタイルを使う場合、他の素材に比べて固さがありますので、頭をぶつけると危険です。玄関の土間部分も同様に石材やタイルの場合、雨の日など濡れた場合は特に滑りやすくなります。転倒しやすい家族がいる場合は、硬い素材は避ける、危険な角を作らないなど、素材や形状選びに注意しましょう。石材やタイルに比べて無垢材の框は柔らかさがあります。万が一の時も、衝撃を吸収しやすいので、おすすめです。
1日に何度もまたぎ、腰かける部分なので、衣服の引っかかりや、つまずきがないように動作に合わせ取り付け、高さや太さを確認することも重要です。
3. 床材との組み合わせコーディネート
框に接する床材は、玄関ホールの床材と、玄関の土間に使われる床材の2種類あります。なので、玄関框は、このどちらかの素材や色合いに合わせて選ぶとよいでしょう。無垢材のフローリングに、タイル状の床の場合、框をタイルで合わせるのか、無垢材に合わせるのか決めなくてはいけません。どちらかと揃えることで、空間に統一感が生まれ、飽きのこない落ち着いた雰囲気になります。玄関マットを敷く場合も色のバランスを考えるようにしましょう。
反対に、床材と素材も色柄も合わせない方法もあります。ステンレス素材など、床と全く違う素材や、色合いのものを使うことで、框の存在を目立たせ、玄関を印象的な空間にすることができます。エントランスホールの床と土間の色合いを合わせて、框の色を変えるでかでもアクセントになります。高級な無垢材や、石材、タイルなどを使い、框を玄関のフォーカスポイントにしたい場合や、個性的な雰囲気にしたい場合に適した方法です。
4. 框の形状をどうするか
框と言えば直線のイメージですが、曲線形状のものや斜め状にする形状も人気があります。斜めはシャープに奥行きが出ますし、曲線にすることで、玄関が優しく、柔らかく、広い印象になります。ただし、直線形状に比べて玄関に割ける面積と予算が必要になりますので、求める雰囲気や、使い勝手と併せて検討しましょう。また、曲線形状(建築用語でアールともいいます)を美しく完成させる施工には熟練の職人技が必要です。そのため、事前に建築会社や施工業者の方にそもそも直線以外の形状で框を作れるか、確認してから取り入れるようにしましょう。
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上がり框の高さを決めるポイント
上がり框を施工する際に決める、土間と玄関ホールとの段差の高さは、暮らす人の健康状態、玄関に求める機能性に応じて決める必要があります。昔は、戸建ての上がり框は30cm程度が一般的でした。しかし、昇り降りの負担が大きいデメリットがあります。かと言って、上がり框の高さを1~2cm程度とすると、靴に付いた屋外の汚れが室内に入りやすい、座って靴の脱ぎ履きがしにくいことが問題になることがあります。
よって、現代の戸建てでは、上がり框の高さは、15~20cmが一般的となっています。イメージとしては、階段一段部です。ただし、明確な決まりがある訣ではないので、玄関に求める機能、デザインを考慮して決めていくことが大切です。
・高めの上がり框の場合
ご近所付き合いがあって、気軽な来客が多い生活スタイルの家では、玄関框を高くし、腰かけやすいつくりにするとで、ゆったりコミュニケーションを取れたり、靴の脱ぎ履きがしやすくなります。その他にも荷物が置きやすく、便利な点もあります。ただし、高い上がり框は健康な大人は難なく上がれる高さですが、お年寄りや、子どもには使いづらい高さとなります。
玄関段差の中間部分に式台を設置するなどして、更に使いやすくする配慮が必要です。高い上がり框はデザイン的にも、土間と玄関ホールを明確に区切ることができます。
・低い上がり框の場合
家族に、高齢者や小さい子供、身体の不自由な人がいる場合、全ての人が使いやすいバリアフリー住宅の基準に則り、高さを18cm以下にすることがおすすめです。車いすなどを使うことが想定される場合は、段差を一切無くしてしまう方法もあります。ただし、段差を無くすと、家の中に汚れや水が入りこまないように、排水ができるよう、グレーチングを設けるなどの計画をしておいた方が安心です。
転倒のリスクを減らすためには10cm以下の段田がおすすめです。ただし、10㎝以下の段差は意識しずらく、実際に10㎝以上の段差よりつまずきやすいとも言われています。バリアフリーを意識した新築やリフォームをする場合は、段差以外にも目を向け、手すり取り付ける、踏み台を設ける、土間にベンチを設置するなど玄関全体を見回して誰もが使いやすい空間にしなくてはなりません。低い上がり框は視覚的にも、土間と玄関ホールをはっきり区切らないため穏やかな印象に仕上がります。
上がり框施工事例
上がり框の施工例です。モルタルの床に、無垢材のフローリングと上がり框でナチュラルでおしゃれな雰囲気です。土間スペースにベンチを設けてあるので、ブーツやサンダルを履くときに腰掛ける、ちょっとした荷物を置くのにとても便利です。
LIFE UP FLOORでは豊富な無料サンプルをご用意しております。お気軽にご利用、お問合せください。
間接照明を取り入れて高級感ある空間に
玄関ホールに間接照明を取り入れると、高級感のあるデザイン性の高い空間になります。上がり框の下や、シューズクローゼットの下に間接照明を取り入れると、夜など足元が暗くなりがちな際に、段差が分かり易くなり、靴の着脱もスムーズにできるといったメリットもあります。
上がり框を施工する際に一緒に考えたいのが、付框(つけかまち)です。付框とは、玄関の土間部分と玄関の壁の仕上げ材の見切りの役割を果たす化粧板のことです。別名、玄関幅木とも呼ばれています。
上框と同じ高さになるように設置し、素材も上がり框と揃えるパターンが多いです。無垢の付框なら木目も美しく、単にクロスと土間の見切りという機能面を越えて、空間を上質に彩ってくれます。一方で、壁や建具の色と框の色を合わせるお客様もいらっしゃいます。そうすることで、壁の区切りがなくなり、よりスッキリとした印象になるでしょう。
玄関は家の顔となる大切な空間ですので、フローリング、框の組み合わせを考えて玄関を訪れる人が心地の良い、空間をつくりたいですよね。無垢フローリングなら家に一歩踏み入れた時の心地よさが違います。天然の調湿効果、足の裏で感じる木の滑らかな肌触りは他の素材では叶いません。ぜひ無垢材のフローリングと框を体験してみてください。
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上がり框についてまとめ
ここまで、上がり框と付框の違いや種類について知ろういかがでしたでしょうか。普段何気なく通り過ぎている玄関でも、新築、リフォームする際には細部にもこだわりたいですよね。ちょっとしたアイディアで、より素敵な玄関を作ることができます。
LIFE UP FLOORでは豊富な樹種の框、フローリングをご用意しております。無垢材の魅力をお家作りにも活かして、快適で心地の良い住まいづくりのお手伝いができれば幸いです。お気軽にお問合せください。
コラム監修者からのメッセージ
鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。