戸建てリノベーションのポイントや注意点
はじめに

ここ数年の生活様式の変化に伴い、都心から郊外に住まいを変えたいと思っている方も多いのではないでしょうか。ただ、一から郊外に一戸建てを建築するとなると、土地探しやハウスメーカーを選び、プランを考え、建設する時間と費用がかかります。中古物件なら、土地も建物も完成しているので、初期費用を抑えたうえで、生活のイメージがしやすく、自分の希望する内装、設備にリノベーションをして住むことも可能です。賃貸の物件には無い間取りを作ることもできます。
おなじ価格の中古物件でもマンションと比べると戸建ては駐車場代や管理費がかからない、修繕も自分のタイミングで行える、自分の庭を持てるなどのメリットがあります。小さな子供がいある場合は、騒音なども気にせず暮らすことができます。今回は一戸建てをリノベーションをするおすすめポイントやアイディアをご紹介しますので、参考にしてみてください。
<今回の記事のポイント>
・リノベーションのメリットや事例、ポイントなどがわかる
更新日:2024/02/16
初稿:2021/07/15
戸建てリノベーションのメリット

中古住宅をリノベーションメリットとして真っ先にあげられるのが、新築の住宅を建てるよりも費用を抑えることができる点です。
新築戸建て(建売)の平均購入価格は約3800万円で、注文住宅は約5000万円とも言われています。一方で、中古の戸建ての場合、築20年以上の中古の物件ともなると建物の価値はほぼ無く、土地代だけで購入することができます。
築20年以上経過した戸建てでも、内装や外壁をすべて壊して基礎と骨組みの構造部を残し、それ以外を一から作り直すことのできるスケルトンリノベーションを行えば、新築同様の住まいを作ることもできます。一から作り直すため、水回りの位置や間取りを変更できるのはもちろんのこと、屋根や外壁の取り換え、耐震補強、配管交換、断熱性の向上など、家自体の性能も新築同様に高めることができるのです。
しかし、スケルトンリノベーションを行いたい場合でも向かない物件もあるので、購入契約の前に確認しておくことが大切です。
スケルトンリノベーションに向かない物件の一つは、2×4 (ツーバイフォー) 工法やプレハブ工法の戸建てです。これらの工法で建築された戸建ては耐震上不可欠な壁(耐力壁)があるので、壁を自由に壊すことができません。つまり間取りを自由に変更できないのです。木造の場合はある程度自由に間取りが変更できます。
もう一つスケルトンリノベーションに向かない物件として、基礎部分や柱が大幅に劣化している場合は建替えた方が良いでしょう。なぜなら、基礎や柱の補強は費用がかさむため、最終的に建替えた方が安くなるケースもあるからです。
ぱっと見た目は綺麗で大丈夫なように思っても、いざ解体してみるとシロアリの被害にあっていることもあります。素人の判断で後に後悔しないように、事前に専門家にホームインスペクションしてもらいましょう。
戸建てなら自由な間取りが叶う

戸建てをリノベーションするもう一つのメリットは自由な間取りです。中古マンションの場合、管理規約によってリノベーションできる部分に制約がある場合が殆どです。
マンションには専有部分と共有部分があります。基本的に専有部分である居住スペースは自由にリノベーションできますが、共有部分である住民が共同で使用するエントランスや共用廊下、各住戸の排水管や給水管を繋いでいるパイプスペースなどは、個人の判断でリノベーションすることはできません。専有部分であってもお風呂やトイレの位置の変更は難しく、玄関の扉などは共有部分となるので好きに変更することができないのです。
戸建てのリノベーションなら、間取りを変更したり、汚れがつきやすい水回りや玄関周りを自由に変えることができます。すべてをリノベーションしなくても部分的に気になる場所を変えることも可能です。新築ほどの費用をかけずに、より自分の理想とする住まいづくりを叶えることができます。
リノベーション実例

奥の部屋は元々和室だった場所をフローリングにリノベーションし、段差を無くして多目的なお部屋にしてあります。子供の成長に合わせて引き戸でお部屋を区切っても使うことも可能です。築年数を重ねている戸建てほど、和室が残っているケースが多くあります。もちろん畳を表替えしても良いですが、二間以上続く和室の場合、現代の生活スタイルに合わせてフローリングにリノベーションしたお部屋の方が好まれる傾向にあります。
リビングと続いたお部屋の場合、色が明るめの樹種を選び、壁紙も併せて白系を選ぶとお部屋が広くみえます。シンプルでどんなインテリアとも合わせやすい空間になります。代表的な、スギやヒノキ、メープルなどがおすすめです。
一般的にはフローリングは約15~20年程度が張り替えのタイミングと言われています。クッションフロアや複合フローリングの場合、一度傷がつくと補修を行うことは難しく、目に見える劣化がある時は経過年数に関わらずリノベーションが必要になるでしょう。無垢材のフローリングは天然木そのものなので、小さな傷ができた場合は紙やすりをかけて目立たなくするなど、補修しながら長い年月使うことができます。使い込む程に経年変化で艶が増し、色合いも深まるので傷もあまり気にすることなく使用できます。
LIFE UP FLOORでは、実際に木材を手に取って確かめることのできる、無料サンプルをご用意しております。お気軽にご利用、お問い合わせください。
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リノベーションする一戸建購入のポイント

・修繕の必要な箇所を確認する
自由な間取りや好みの内装にリノベーションできるのが中古戸建のメリットですが、思わぬ部分のリノベーションが発生した場合、想定よりも高い費用がかかることがあります。また、暮らしてみたから不具合が見つかり、何度も修繕することのないように気を付けなくてはいけません。見積もり内容をよく検討することが大切です。
建物の構造や基礎がどんな状態かをよく確認し、腐食やシロアリでどれくらい痛んでいるのか、これまでも修繕履歴をチェックすることが大切です。家の構造や基礎が整っていれば、内装のリノベーションに傾注して計画を立てることができます。しかし、基礎工事も必要となると予想以上に費用が掛かり、結果的に新築の戸建て物件と同じくらいかかってしまう場合もあるので注意が必要です。築年数や売り出し価格で安易に判断せず、しっかり現物を見て、疑問点は不動産会社に確認するよう気を付けましょう。

・周辺の生活環境が自分たちのライフスタイル、家族構成にあっているか
リノベーションを前提に戸建てを探すとつい建物の状態や内装プランにばかり目が行ってしまいがちですが、住まいは周辺環境も大切です。治安はどうか、通勤通学のアクセスは良いか、高齢になった時の利便性はどうか等、自分のライフスタイルや家族構成に合った環境に建っているかも確認しましょう。騒音や治安を確認するためには、朝、昼、晩と時間帯を変えて物件を見に行くことも大切です。昼間は気が付かなかった夜道が思ったよりも暗い、交通量が時間帯によって変化するなど、暮らし始めるまで見落としがちな部分もしっかりチェックしましょう。
・税金の優遇対象の物件かどうか
新築の住宅購入と同じように、リノベーションする戸建ての場合でも税金の優遇を受けられるものがあります。主に住宅ローン減税などですが、築年数やリノベーション内容の条件があります。平成26年に税制改正され住宅ローン減税等の条件が変更となりました。
築20年超の戸建ても物件取得後に耐震工事を行い、耐震基準適合証明書の取得もしくは、既存住宅売買かし保険に加入することで新築と同等の様々な減税措置を受けることができます。
他にも、地方公共団体による「長期優良住宅化リフォーム推進事業」として既存住宅の長寿命化や三世代同居など複数世帯の同居の実現に資するリフォームに対し、国が事業の実施に要する費用の一部について支援する事業や、高い省エネ性能を有する住宅のリフォーム等を対象に、様々な商品や追加工事と交換できる「グリーンポイント制度」などがあります。
このような税制上の優遇や補助金制度を意識してリノベーションプランを計画することも大切です。
羽目板を使って個性的なリノベーション

リノベーションでも人気のある「羽目板」はご存知でしょうか。羽目板とは、建築用語で壁や天井に張るための板のことを差します。パネル式に連続して張ることができるので、クロスの壁から木の壁に変えたいと思ったら、クロスの上から釘を打ち、羽目板を重ねて、手軽に無垢の木の壁を作ることが出来ます。もちろんプロにお願いすることもできますし、DIYとしても気軽にできる部類なので、ご自身でリノベーションを行いたい人にもおすすめです。
壁や天井を全面無垢の木で覆うことも可能ですし、壁の半分、腰から下に羽目板を張り、お部屋にアクセントを付けるのもおすすめです。海外のキッチンなどでもよく見られるデザインです。羽目板と同じ樹種で無垢フローリングにリノベーションすれば、おしゃれで個性の中にも統一感がある空間を作ることができます。
香りに癒し効果のあるヒノキや杉などの針葉樹は柔らかい木質で身体への負担が少ない木材なのでおすすめです。
世界三大銘木であネシアチークなどの赤~黄身を帯びた木材を使えば、ナチュラルでオリエンタルな雰囲気の空間になります。ネシアチークは木製タールが多く含まれ酸化や害虫に強く、水にも強い木材なので、水回りのリノベーションで無垢材を使いたい時にも適しています。
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リノベーションで暖かいお部屋を実現

誰もが夏は涼しく、冬は暖かく暮らしたいですよね。築20年以上の古い戸建ては、断熱材が入っていない場合があります。今では当たり前のように断熱材が入っていますが、昔は入れていないケースもありました。注意点でもお伝えしたように、リノベーションの費用が大きく変わってくるので、物件購入前に断熱材の有無も調べましょう。
断熱リフォームには、外壁・屋根・内壁・床に「断熱材」や「断熱パネル」を入れる工事が主流です。断熱リフォームの費用相場は、施工する場所によって差があり、一度既存の壁を剥がすような場合は壁の解体・補修・下地張り・仕上げ材の施工も行うため、費用は1㎡につき1万円前後かかります。
そうなると一戸建て住宅の壁全体を断熱化するのには、約300~500万円以上かかる場合があります。少しでも施工費用を安く済ませるために壁の1面のみを施工しても、断熱効果はほとんどないので注意が必要です。
また「内窓(インナーサッシ)を追加して二重窓にする」などの方法も断熱リノベーションの一つです。結露防止、防犯の面でも二重窓はおすすめです。
しっかりと断熱工事を行えば、冷暖房効率がアップし、年中通して快適に暮らすことができ、光熱費も抑えることができます。
床暖房リノベーションもおすすめ

無垢フローリングは天然の吸湿効果があるので、夏は湿気を吸ってサラサラな床に、冬ばは湿度を保ちしっとりとした床になります。ただ、オークなどの広葉樹は木質が硬いため、冬場は特にひんやりと冷たさを感じるでしょう。そのような場合は床暖房を入れるのもおすすめです。
床暖房には、温水式と電気式の2種類あります。
・温水式
フローリングの下のパイプに温めた御湯を循環させて温めます。維持費も安く済みますが、導入するための施工費用は高い傾向にあります。
・電気式
電気ヒーターによって温める方式で、後から導入する事が
比較的簡単で、導入費用も温水式に比べると安くすみます。一方で維持費、ランニングコストが高いというデメリットがあります。
無垢フローリングに床暖房に対応した商品もあります。ただ、どんな無垢材でもよい訳でなく、床暖房との相性もあり、無垢フローリングの施工には、それぞれの木の持つ特性を理解して扱う長年の経験が必要です。
しっかりと無垢フローリングのリノベーションに対応できる会社を見つけて依頼するようにしましょう。
断熱材も床暖房も壁や床をはがす大工事です。後からやろうとすると、一時的に引越しが必要になったり余分なコストと時間がかかります。リノベーションのタイミングで検討してみましょう。
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戸建てリノベーションのまとめ
コラム監修者からのメッセージ

鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。