フローリング材の種類と見分け方について
新築の家を建てる時や、畳、カーペットからの張り替えリフォーム、リノベーションの際によくある質問がフローリングの種類について。快適なフローリングにしたいけど、種類やデザインもたくさんあってわからない、選ぶのが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。また、床材は一度施工したら簡単に交換できる部分ではないので、慎重に吟味する必要があります。一口にフローリングといっても、樹種、素材によってさまざまです。
今回はフローリングを色合いだけで選び、住み始めてから後悔することのないように、フローリングの種類、特徴、メリットやデメリットを解説したいと思います。ぜひ、フローリングの選び方の参考にしてみてください。
<この記事のポイント>
- フローリングは大きく分けて単層フローリング(無垢材)と複合フローリングの2種類。
- 無垢材のメリットは天然木ならではの恩恵を暮らしに取り込めること。
- 複合フローリングのメリットは場所を選ばずに採用しやすいこと。
- それぞれのメリットデメリットを理解すれば満足度の高い空間を作ることができる。
更新日:2024/02/16
初稿:2021/05/22
フローリングの構造による違い
フローリングはJAS(日本農林)規格に基づき大きく「単層(無垢)フローリング」と「複合フローリング」の2種類に分けられます。
単層フローリングとは基本的に他の木材を重ねず、一枚板を基材とした無垢の床材を差します。無垢材は、丸太から切り出した自然な状態のままの木材のことをいいます。切り出したままの木材なので、同じ木目の無垢材は存在せず、オンリーワンのフローリングといえます。天然木ならではの香りや質感を存分に味わうことができます。
複合フローリングとは、単層フローリング以外のものを差しますが、一般的には合板や集成材といった基材の表面に化粧材を張り合わせたフローリングのことです。人工的に作られた木材なので、均質なスッキリとした見た目と、品質が安定している点が魅力といえます。また、化粧材に天然木を用いて、無垢フローリングのような手触りを再現した商品もあります。
無垢フローリングのメリットとデメリット
無垢フローリングのメリットは一言でいえば、「天然木ならではの恩恵を暮らしに取り込める」ことです。
特に日本の暮らしは、素足で室内を歩くことや、四季の変化があるという特徴があります。このコラムでも度々触れてきましたが、無垢材には調湿作用があります。周囲の湿度が高い時には空気中の水分を吸収し、空気が乾燥して湿度が低い時には自らの水分を放出することで、湿度を保つことができます。木がフローリングとして加工された後も、無垢フローリングならこの効果が継続します。
床を素足で歩くときに夏場はベタつき、冬場は乾燥が気になるかと思いますが、無垢フローリングなら、夏はさらっと、冬はしっとりした床で快適に過ごすことができるのです。
一方で、無垢フローリングは湿度による収縮で、反りや隙間ができることは避けられません。また、水や汚れにも弱いという側面もあります。
無垢フローリングは専門会社にお願いすれば、無垢材の伸縮や反りが軽減するようにしっかりと計算して施工できますし、表面にオイル系の自然塗料を塗布すれば無垢材の風合いを残しながら、水や汚れから保護することが可能です。
LIFE UP FLOORでは、お客さまが望む思い通りの快適な空間づくりにお役に立てるご提案をさせていただきます。お気軽にご相談ください。
珪藻土や漆喰壁との相性は◎
無垢材と同じく天然素材である珪藻土や漆喰の壁は、無垢フローリングと相性がとても良いと言えます。ナチュラル系のおしゃれなインテリアともぴったりです。珪藻土は調湿、消臭効果に優れていますし、漆喰の壁も調湿効果があり、強アルカリ性でカビが生えにくい特徴があります。
小さなお子様がいる家庭、アレルギーなどでシックハウス症候群の心配がある方は天然素材を使ったお家づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
無垢フローリングや漆喰壁等の天然素材は、ビニール等のコーティングが施されている訳ではないので、小まめなお手入れ、定期的なメンテナンスが必要となります。逆に言えば、メンテナンスのコツを掴めば、複合フローリングやビニールクロスと違い、劣化を抑えて長く使うことができるのです。
お手入れ方法もそんなに難しいことはありません。掃除は掃除機も使えますし、硬く絞ったクロスで拭く、汚れがひどい時はサンドペーパーで擦るなど、自分で簡単な補修を行うことができます。蜜蝋などの自然ワックスもおすすめです。丁寧な暮らしの積み重ねで、より住まいへの愛着が湧くでしょう。
無垢フローリング樹種の見分け方
時間の経過と共に、色の変化と使い込んだ艶が出て味わいが増していくのも、無垢フローリングならではのメリットです。経年「劣化」ではなく、経年「変化」として、空間に味が出てきます。
「無垢」と聞くと高級なイメージを持つ方も多いかと思いますが、樹種や素材のグレード、サイズなど幅広く、価格はピンからキリまであります。無垢フローリングとなる樹種は多岐に渡り、その種類によって木の特徴、見た目で部屋の印象も変わります。
これまで、スギやブラックチェリーフローリングを紹介しましたが、今回はまだ紹介していない無垢材と材質の特徴についてお伝えします。
NZパインの無垢材フローリング
NZパインはマツ科マツ属で、ニュージーランドで計画的に植林・栽培されたラジアータパインです。恵まれた、温暖な地域で育った木は幹が太く、芯がしっかりと締まり、針葉樹ならではの直線的な木目が特徴です。素朴で温もりのある雰囲気が造れます。
心材は淡い褐色、辺材は淡い黄白色で、切り立ては透明感のある美しさがあります。経年変化と共に、深みのある飴色に変わり、ヴィンテージ感が出てきます。柔らかい木質のため足への負担も少なく、小さなお子様やご年配の方のお部屋にも安心して使用できるので、おすすめです。和室の雰囲気にも馴染みやすい木材のため、洋風建築から和風建築まで幅広くご使用いただけます。
メープルの無垢フローリング
メープルはカエデ属の広葉樹で、カナダ北東部やアメリカ北東部に広く分布しており、木の幹から採れる甘い蜜のメープルシロップで知られています。広葉樹の中でも、硬い樹種のため、衝撃や摩耗にも強く、ボーリング場のレーンや、ダンスフロアのフローリング等にも採用されています。
欧米では古くから家具に用いられることも多く、鳥眼杢と呼ばれる小さな渦巻き模様があるものは、「バーズアイメープル」と呼ばれ、珍重されてきました。 心材は黄褐色、辺材はかすかに赤みがかった乳白色で、明るく華やかな表情のある空間になります。光の当たり方で木目の美しさが良く際立ち、経年変化で黄檗色(きはだいろ)に変化しながらツヤが増していく魅力があります。
ウォールナットの無垢フローリング
ブラックウォールナットは北米を代表する広葉樹で、「クルミの木」といえば分かりやすいかもしれません。チーク、マホガニーと並ぶ世界三大銘木のひとつです。 心材は褐色から紫褐色で、辺材部は幅が狭くて黄褐色の深みのある色合いで、重厚感、高級感があります。タンニンを多く含むので、経年変化により深みのある風合いに変化します。
また、適度な油分を含み、なめらかな肌触りが心地よく、使う程に美しい艶がでてきます。強度があり硬く、粘りがある木質なので、加工もしやすく、高価な家具にも使われてきました。無垢フローリングの中でも耐水性がある樹種になります。衝撃や摩擦にも強く、狂いが少ないので、無垢フローリングに最適な木材と言えるでしょう。
複合フローリングのメリットとデメリット
複合フローリングのメリットは合板の上に天然木材などを張り合わせていることで、無垢材の弱みである、湿度による膨張や伸縮が少なく、その結果、反りや割れなどの狂いが起こりにくい点にあります。また、表面の化粧材によりますが、傷や水にも比較的強いので、キッチン、トイレなど場所を選ばずにフローリングを採用しやすい特徴があります。床暖房にも対応している商品もあります。
また、複合フローリングは「挽き板」、「突き板」、「シート」という表面の化粧材によって3つのタイプに分けられます。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
マンションなどの一般住宅で用いられるフローリングのほとんどが、複合フローリングです。防音性や耐久性、クッション性に優れた商品もあり、品質が安定しているのも魅力の一つです。木目についても加工されているので、癖がなく、均質な印象になります。無垢フローリングに比べると味気ないと言えばそれまでですが、クリーンな印象を保てるので、好み次第といえます。
複合フローリング挽き板タイプ
のこぎりで、厚さ2〜3mm程度に切り出した天然木(挽き板)を表面に張って仕上げたフローリングです。表面に厚みがあるので、一見、無垢フローリングと見分けがつかない質感となります。木の温もり、色の経年変化を楽しむことも可能ですが、傷のつきやすさは無垢材と同様に樹種によって変わってきます。
基材は合板なので、安定しており、ウレタン塗装を行えば汚れにも強く、水拭きも可能です。踏み心地、価格共に無垢フローリングと同等レベルのものが多く、施工費用が高くなる場合が多いです。
複合フローリング突板タイプ
0.3〜1mm程度に薄くスライスした天然木(突き板・単板)を、合板でできた基材に張り合わせて作られたフローリングです。基材が合板で、表面の化粧材も薄くて済むため、均一な商品を安く大量生産できるメリットがあります。反りや歪みも少ない床材になります。
しかし、0.3mmのものになると、断面からは判断できないほど薄い化粧材を貼り合わせることになるため、表面に深いキズや大きな凹みが入ると、下の合板が見えてしまいます。見た目は無垢フローリングと似ているものもありますが、美しい経年変化は生まれにくく、施工当初が一番美しいフローリングといえるでしょう。
複合フローリングシートタイプ
樹脂や紙などに木目柄をプリントしたシートを基材に貼り合わせたフローリングです。木目調のプリントだと分かりやすいものから、本物の木だと見間違えるような、高級なプリントの素材もあります。基材は合板の上に、MDFと言って、木材などの繊維物質を細かく分解、溶かして固めたボードが貼られています。その上にオレフィンシートという極薄のビニール素材や樹脂や紙製のシートが貼られ、ウレタン樹脂系の塗料などで仕上げて作られます。
基材が合板なので、反りなどは発生せず、施工も簡単にすることができます。また、化粧材もビニール素材や紙のため、非常に安価なフローリングになります。その反面、傷に弱く、年月が経つとともに薄い化粧材が剥がれるなどの劣化が起こりやすく、ペットや小さな子供がいる家庭には不向きだといえるでしょう。
フローリングの専門店ライフアップフロア(LIFE UP FLOOR)では、機能性に優れたフローリング材を豊富に取り揃えております。
質問や確認等、わからないことはお気軽にお問い合わせください。
写真はヒッコリー複合フローリングの施工事例です。色合いが、木目も荒々しくダイナミック感のある仕上がりとなっております。無垢フローリングの醍醐味を感じていただける空間になっています。
フローリング種類についてのまとめ
今回は、フローリングの種類について詳しくお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?無垢フローリング、複合フローリングそれぞれに魅力が詰まっています。また、どのような素材でも弱点はあるので、それを理解したうえでお家づくりをすれば、より快適で満足度の高い空間を作ることができます。
ちなみに、同じ樹種の無垢フローリングでも、節や辺材部分を選別して取り除いた最高級の「プレミアムグレード」や、節や色ムラがある程度含まれた「セレクトグレード」「キャラグレード」のようにグレードが分けられます。また、加工の方法も「一枚板」タイプや、あえて不揃いな長さを組み合わせた「乱尺」、木材を無駄なく継いだ「ユニ」タイプがあり、グレードと加工の組み合わせによって、価格が変動します。
希望するお部屋の雰囲気、予算に合わせてぜひ、自分好みのフローリングを探してみてください。
コラム監修者からのメッセージ
鈴木 翔吾
・二級建築士・プレカットCAD技術者1級・第二種電気工事士・CLT大臣認定管理技術者
LIFE UP FLOORでは、お客様のご要望に合った高品質なフローリング材を全国販売し、最短当日発送が可能です!お陰様で長野東北信エリアでは販売実績No1となりました。ありがとうございます。
無垢フローリングは樹種によって特性やカラーが異なります。ぜひ、お好みの無垢フローリング材を見つけて、理想とする空間づくりをお楽しみください。木材の購入でお困りの方、設計・施工業者様の皆様からのお問合せをお待ちしております。